名古屋高等裁判所金沢支部 昭和27年(う)539号 判決
しかし右掲記の佐藤きくいの供述調書記載中に「兎に角私は強姦されるのだと思い『あんたは小三郎の兄さんではないか、私は誰れやと思つて居る松助の妹だ……』と言つて相手の顔をよくにらみ付けました。すると相手は手をゆるめたので私は跳ね起きました。起き上つた時でも足首を挫いたのか家に帰る時痛くてなりませんでした」との供述がある。これによれば判示佐藤きくいの足の捻挫は被告人の判示姦淫を免れる為同女が被告人の手を緩めた隙に無理な態勢から刎ね起きる際に生じた傷害と認めるのを相当とする。そうとすれば右きくいの負傷は直接被告人の暴力の結果ではないとしても同暴力に抵抗する婦女がこれを避ける為めに必要とした通常の行為に伴つて発生した結果であつて被告人の判示暴力と右傷害の結果との間にこれを綜合する因果関係の成立を認めるのが相当である。よつて原判決が被告人の判示所為につき強姦致傷の罪の構成を認めたのは正当であり論旨は理由がない。
(註 本件は量刑不当により破棄自判)